2026年5月26日、自動車界に衝撃が走った。
フェラーリが、創業以来初となる完全電気自動車(EV)「Luce(ルーチェ)」を世界に向けて発表したのだ。
ルーチェとはイタリア語で「光」。その名の通り、新時代を照らす存在になるはずだった——はずだった、という言葉を使わざるを得ないのが、今の私の正直な気持ちである。
フェラーリが電気で走る日が来た
スペックだけを見れば、申し分ない。
最高速度310km/h超、0-100km/h加速はわずか2.5秒。航続距離530km以上、バッテリー容量122kWh。4ドア・5人乗りというパッケージに、価格は欧州で550,000ユーロ、日本円にして約1億円。
数字だけを並べれば、確かに「フェラーリらしい非日常」を感じる。
しかしクルマというのは、数字だけで語れるものではない。
デザインを見た瞬間、言葉を失った
画像が公開されたとき、私は思わず二度見した。
4ドアセダン。なだらかなルーフライン。整然としたボディパネル。Apple元デザイン責任者、ジョニー・アイブ氏との共同デザインというから、洗練されているのは確かだ。
だが——これはテスラではないか、と思った。
フェラーリには「官能」がある。低く構えたロングノーズ、絞り込まれたウエスト、攻撃的なリアフェンダー。見ただけで心拍数が上がる、あの独特の色気。
ルーチェにそれはない。
美しいクルマだとは思う。けれどそれは、フェラーリである必要のない美しさだ。
市場も同じことを感じた
発表当日、フェラーリの株価は一時約8%急落した。
プロの投資家たちもまた、同じ疑問を抱いたのだろう。「これはフェラーリなのか」と。
フェラーリはかつて、EV化の目標を「2030年までに40%」と掲げていた。それをいつの間にか「20%」に引き下げている。その慎重さは正しいと思っていた。だからこそ、いざ出してきたものが「無難なEV」だったことへの落胆は大きい。
フェラーリはデザインで夢を売るブランドだった
私がクルマに惹かれるのは、スペックではなくデザインだ。
走っている姿を見て「美しい」と感じる。駐車場で隣にいるだけで「格が違う」と感じる。そういうクルマの代名詞が、フェラーリだった。
ルーチェは速い。静かに、滑らかに、圧倒的な速さで走るだろう。
でも私は、あのV8エンジンの咆哮と、低く構えたシルエットで角を曲がってくるフェラーリの姿が好きだった。
只忖度なく言わせてください。ルーチェは確かに先進的かもしれないが、デザイン的には全く憧れもないし所有欲も起きない。
なので次のフェラーリに期待したい。本当の意味で「フェラーリらしいEV」を。
Ferrari Luce スペックまとめ
・最高速度:310km/h超
・0-100km/h:2.5秒
・航続距離:530km以上
・バッテリー:122kWh
・乗員:4ドア・5人乗り
・価格:欧州550,000ユーロ〜(約1億円)
・発売予定:2026年後半
インテリアに飾るなら、やっぱりこっちのフェラーリがいい。本物のダイキャスト製1/24スケールモデル。この車から発する官能的な色気をずっと眺めていたい…。

